粗製濫造の果てを見たい

撮った写真とその時考えていたことの備忘録として

世紀末 其の十四

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昨日はこんなイベントに行って来ました。VMO、というバンドが主催しているイベントで月一回のペースで行い、今回で14回目になります。

自分は2回目くらいに初めて行ってそれからは7割くらいかな、そのくらいの頻度で見に行ってます。

 

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六時開場なんですが、平日という事もありあまりその時間にお客さんは来ません。早く来たお客も近所のコンビニ前でダラダラしてるのが恒例。この三人、お客は真ん中だけで後二人は演者ですが。人があつまりだすのは開演七時からしばらくたってからかな。

 

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皆、入場してもステージを見に行かずにコンパスの居心地のいいロビーでピザ食ったり、飲んだりダラダラしています。ライブに来た、というより気の合う仲間とのパーティに来た、という感覚。

仲間と遊びたいなら普通に居酒屋いってればいいじゃん、と思われそうですが、みんなが毎回このイベントにわざわざ来るのはやってる音楽がかっこいいから。なかなか自力では辿り着けない尖った音楽をきけます。飲み食いしながらもフロアから聞こえる音楽を楽しんでいて、いいな、と思ったらステージを見に行き、疲れたらロビーに戻る。そんな感じです。

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今回は演者はDJ中心。

自分がこのイベントに行ったきっかけは、第2回かに出演していたBELLRING少女ハートというアイドルグループが目当てで、でした。ドルオタなんで。その後も以前このブログでも書いたおやすみホログラムはじめ、自分の好きな感じのアイドルをよく呼ぶのがこのイベントの好きなところではあるんですが、今回みたいなアイドルのでない回もけっこう行ってます。新鮮な音楽をリラックスした環境で聴けるこの雰囲気が気に入ってます。

同じ思いなのか、今回も何時もはアイドル現場で会う知り合いが多数。何故か酒癖が悪かったり、ライブ中に奇行を行う事で有名なだったり、いわゆる汚いオタクばかりですが。しかしそういう厄介なオタクは音楽に詳しい人も多いです。厄介な行動も楽しみ方を知ってるが故なのかも。

 

各演者、それぞれ刺激的で素晴らしかったけど今回は主催のVMOの事を。

 

https://twitter.com/akhrvillalobos/status/847139282741411840

 

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VMO、ジャンルとしてはブラックメタルなんでしょうか?そんな感じのおどろおどろしい白塗りメイクにデスヴォイス、ダークスローンだのウルヴェルだの厳つい名前。でもテクノっぽい音もあり、衣装を見るとロンT、短パンのスポーティなものでカタカナでダークスローンとか書いてる。意味わからないと思います。

自分の乏しい音楽知識では上手く解説できないので簡単に言うと、VMOの音楽はものすごく暴力的な気分になる音楽です。轟音、金属的な音、叫び声があり、それに加えてエモーショナルで美しいピアノの旋律がありそれに揺さぶられた心が身体を動かします。

VMOのライブで特徴的なのがフロアが真っ暗になる事。照明は完全に落とされ、フロアの入り口には暗幕が。ストロボライトのチカチカする光のみの中でのライブ。スモークも焚かれ視界は制限されます。

コンパスというライブハウスのスピーカーはもの凄い低音を出し、客はそれまでにしこたま飲んでいる。視界が制限された危険な状況にも関わらず、体は否応なしに暴れ出します。

スモークの中で動き回ると前後左右の感覚が失われ、ストロボ光の中の視界はコマ送りのように見えて時間の感覚も歪む。そんな中で他の客、演者と接触するのは非常に危険です。怪我をするかも…ではありません。問題はどの程度の怪我をするか、です。無謀だけど、本能的に持ってる攻撃性、闘争心を剥き出して得られる爽快感、のようなものが感じられ、最後の曲の美しいピアノの旋律に浄化され涙が流れる、そんな体験ができます。もちろん、後方でモッシュを避け安全に観る事も可能です。

 

何時もはカメラ持っていかないけど、たまに撮りたくなる。書いた通りの環境なんで、まともに写真を撮る事は無理なんだけど、ストロボ光を使う、というのを利用してスローシャッターで撮ったりして見ます。ストロボが光ったところだけ写真に写る。ピント合わせも不可能なんで絞ってパンフォーカス気味にしたり。ブレブレになったり像が二重になったりしてるけど、マジでこんな感じの視界だよ現場は。

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誰かが言ってたのが、VMOは暴力的だけどハッピーな暴力だ、と。振り回す手が顔に当たって鼻血が出るかもしれないし、突然ぶつかられて吹っ飛ばされるかもしれない。自分の肘が誰かの歯を折るかもしれないし倒れた誰かを踏みつけるかもしれない。でも、誰もそれを責めない。むしろ殴られて笑っている、喜んでいる。音楽を聴いておこる昂りを遠慮無しに現していい。迷惑をかけられた、なんて文句言って水を差すような事は誰もしないという信頼関係があるのがハッピーだ、と言われる所以だと思います。

 

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ライブ終了後も演者も客も箱から追い出されるまでいつまでも帰らないのも世紀末というイベントのいつもの光景です。